牡蠣(カキえもん)
厚岸町
寒流の影響で、夏でも海水温が上がりにくい厚岸は、日本で唯一、年中牡蠣を出荷できる一大生産地だ。山や湿原の養分をたっぷり含んだ別寒辺牛川の淡水と、太平洋の海水が混ざり合った適度な塩分によって、牡蠣の餌である植物性プランクトンが豊富に育つことが厚岸産牡蠣の美味しさの秘密。48時間の徹底した減菌処理を行っているので、生で安心して食べられるのも大きな特徴だ。
牡蠣の味はつくり手それぞれによって変わってくる。自然の恵みと生産者のたゆまぬ努力の相乗効果だ。厚岸では現在、120ほどの牡蠣漁業者が養殖から水揚げ、殺菌、選別、出荷までを一貫して行っている。素材の持つ力と美味しさに、これ以上のものはないと店主が惚れ込んだ「カキえもん」を無双では仕入れている。
カキえもんは国内初のシングルシード方式による養殖技術を導入し、厚岸産の種牡蠣を厚岸で育てた“純厚岸産“の牡蠣のこと。殻を開け、ぷっくり大きな身をそのまま頬張ると、海の香りとともにコクのある甘さが口いっぱいに広がる。濃厚だがしつこくない爽やかな味わいは、牡蠣が苦手な人でも食べることができると多くの人が言う。
一般的な牡蠣の養殖方法だと、種牡蠣を海に沈めたまま育てる。これに対してシングルシードは、一粒一粒ばらばらに網かごに入れて育てる。かごは浅瀬に横向きで設置するため干潮時には外気にさらされ、波にも洗われる。波に転がされながらかごの中で大きくなっていく。過酷な環境で育つゆえに、うま味を生み出す貝柱が太く、強くなる。かごの中のカキえもんが生き残り、出荷できるのは平均10%程度という。普通では考えられないほどの手間ひまをかけて、創り育てられた厚岸・カキえもんの美味しさをぜひ味わってもらいたい。