シャコ
小樽市(秋)
蝦蛄と書いてシャコ。鮨のネタとして大切な魚介である。茹でられたシャコはふんわりとした食感。北海道内随一の産地は小樽。本州のシャコの平均は10センチ程度であるが、小樽シャコは18センチ以上と大きく、強いうま味と甘み、豊かな抱卵が特徴だ。塩茹でし、殻をひとつひとつハサミで外しながらカニのように食べる人もいる。この独特の食感と味わいに、固定ファンは多い。
春の抱卵期は濃厚な卵とプリッとした食感が楽しめる雌、晩秋から冬にかけては身の締まりが良く全身にしっかりとうま味が乗った雄がおすすめだ。石狩湾のシャコ漁は「刺し網漁」方式。海がしけて海底が濁るタイミングで巣穴から出て動きが増えるシャコの習性を利用し、荒天を予測してあらかじめ網を設置しておく。
早朝の高島漁港。漁真っ盛りの番屋は、水揚げされたシャコの網はずしや塩茹での作業で大忙しになる。シャコは鮮度が落ちやすく、扱いがとても難しい。死んでから時間が経つと、自分で自分の身を溶かす酵素を出すので、身がやせ細る。そのため、水揚げして網からはずしたらすぐ、活きの良いうちに大釜で一気に数分茹で上げてから出荷するのが一般的だ。
しかし、無双では店主が小樽の漁港に出向き、早朝に水揚げされたばかりの生きたままのシャコを直接仕入れる。茹でる際の塩加減や温度管理を自身で行い、理想の味に近づけるためだ。わずかな調整に苦労しながらも、それによってシャコのうま味が最大限に引き出され、ここでしか味わえないとろけるような食感を生み出み出している。これが無双のシャコの握りだ。